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知財裁判例紹介:
平成21年1月27日知財高裁判決・平成20年(ネ)第10055号(ロクラク事件

1 判決の一部(「幇助」を否定した部分(最後の部分))
「小括
以上のとおり,被控訴人らが主張する各事情は,いずれも,控訴人が本件複製を行っているものと認めるべき事情ということはできない。加えて,上記(1)のとおりの親子ロクラクの機能,その機能を利用するために必要な環境ないし条件,本件サービスの内容等に照らせば,子機ロクラクを操作することにより,親機ロクラクをして,その受信に係るテレビ放送(テレビ番組)を録画させ,当該録画に係るデータの送信を受けてこれを視聴するという利用者の行為(直接利用行為)が,著作権法30条1項(同法102条1項において準用する場合を含む。)に規定する私的使用のための複製として適法なものであることはいうまでもないところである。そして,利用者が親子ロクラクを設置・管理し,これを利用して我が国内のテレビ放送を受信・録画し,これを海外に送信してその放送を個人として視聴する行為が適法な私的利用行為であることは異論の余地のないところであり,かかる適法行為を基本的な視点としながら,被控訴人らの前記主張を検討してきた結果,前記認定判断のとおり,本件サービスにおける録画行為の実施主体は,利用者自身が親機ロクラクを自己管理する場合と何ら異ならず,控訴人が提供する本件サービスは,利用者の自由な意思に基づいて行われる適法な複製行為の実施を容易ならしめるための環境,条件等を提供しているにすぎないものというべきである。」

第2 私のコメント
著作権法では、現状、「間接侵害」(広い意味)の一形態である「幇助・教唆」については、損害賠償だけで、差し止めは認められていません(著作権法112条。これは特許法でも同じですね)。同法113条の侵害と見做される行為(これも「間接侵害」の一つの形態のような気がしますが)は差止めが認められています。
ウィニー事件では、大阪高裁は、「間接侵害」(広い意味)の一形態である「幇助」について、「ウィニーが著作権を侵害する手段に使われる可能性をソフト開発者が認識していただけでは、幇助犯にはならない」としました。
他方、ロクラク事件(日本で録画したテレビ番組をネットで海外に転送し、海外で利用者が鑑賞するサービスを提供する運営会社を、NHKと民放9社が著作権侵害で提訴した事件)については、知財高裁は、利用者の行為は個人的にテレビ番組を録画して楽しんでいるのだから私的利用のための複製(著作権法30条1項)として適法だと判断しました。つまり、カラオケ法理が成立しない(サービス提供者は利用者ではない)というだけでなく、直接の利用者の行為が適法なのだから被告(サービス提供者)側の教唆・幇助も成立しないとしたのが、このロクラク判決なのでしょう。

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