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知財裁判例紹介:
東京地裁平成14年5月15日判決・平成13年(ワ)第1650号(ドクターブレード事件)

・特許法101条1号は、将来における特許権侵害に対する救済の実効性を高めるために、一定の要件の下で、その準備段階の行為について特許権を侵害するものと見做したものである。
そうすると、同号にいう「その物の生産」とは、供給を受けた「発明の構成要件を充足しない物」を素材として「発明の構成要件の全てを充足する物」を『新たに作り出す行為』を指すものと解すべきであり、加工、修理、組立て等の行為態様に限定はないものの、「供給を受けた物を素材としてこれに何らかの手を加えること」が必要であり、「素材の本来の用途に従って使用するに過ぎない行為」は含まれないと解すべきである。

・すなわち、本件において、原告は、被告が製造・販売するドクターブレードは、原告の特許発明の構成要件C「セラミック材料の表面被覆が最高0.25mmの全厚さを有する層で構成され」を充足しないが、購入者が被告製品の使用を継続することにより、ブレードの刃先のセラミックの被覆厚みが減少して被告製品は本件発明の構成要件Cを充足するようになるため、被告製品を製造・販売する被告の行為は、原告の特許権の間接侵害行為を構成すると主張したのに対して、裁判所は、購入者が、被告製品を購入した後、使用を継続した結果、セラミックの表面被覆は、摩耗して薄くなることもあり得ようが、これは通常の用途に従った利用行為の結果であるから、このような購入者の行為を、社会通念上、物を生産している行為ということはできないとしました。以下は判決の一部。

「法101条1号は、特許が物の発明についてされている場合において、業として、その物の生産にのみ使用する物を生産、譲渡するなどの行為を特許権を侵害(いわゆる間接侵害)するものとみなしている。
同号の趣旨は、次のとおりである。すなわち、甲が発明の構成要件を充足しない物を製造、販売するなどの行為をすることは特許権侵害を構成しないが、その物の譲渡を受けた乙において、その物を使用して、発明の構成要件を充足する物を生産するなどの行為に及ぶことが特許権侵害を構成するようなときには、将来における特許権侵害に対する救済の実効性を高めるために、一定の要件の下で、その準備段階である甲の行為について、特許権を侵害するものとみなした。そうすると、同号にいう、乙が行う「その物の生産」とは、「その物の生産又は使用」などと規定されていないことに照らすならば、供給を受けた「発明の構成要件を充足しない物」を素材として「発明の構成要件のすべてを充足する物」を新たに作り出す行為を指すと解すべきであり、加工、修理、組立て等の行為態様に限定はないものの、供給を受けた物を素材として、これに何らかの手を加えることが必要であり、素材の本来の用途に従って使用するにすぎない行為は含まれないと解するのが相当である。」

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