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弁理士業務暦20年以上、中小企業の知的財産権(知財)の出願・訴訟に多くの実績があります。山口県山口市出身です。
Q1 実用新案登録を取得しても意味がないのですか?
Q2 プログラムの場合、著作権を持っていれば特許権は要らないのですか?
Q3 著作権があれば商標権は要らないのですか?
Q4 ソフトウェア(プログラム)は実用新案では保護されないのですか?
実用新案は無審査制なので、実際に権利行使しようとしても極めて難しいと思います。
なぜなら、権利行使のためには技術評価書の提示が必要ですが、この技術評価書を取るとほぼ99%、進歩性・登録性がないという評価になってしまうので、事実上、ほとんどのケースで権利行使ができないからです。
そのため、ほとんど意味がないという実務家も多いと思います。実際、実用新案出願の件数は毎年約1万件以下と低迷しています。
しかし、実用新案は、登録までの費用が特許印紙代だけをみると特許の約6分の1(審査請求料が不要なので)と格安であるため、個人や小企業の間でニーズはあります。
権利期間は出願日から10年(実用新案法15条)で、特許の半分ですが、十分でしょう。
また、仮に権利行使の段階で技術評価書を取ってみて進歩性が無いという評価だったとしても、本当に優れた考案で明細書もきちんと書かれていれば、登録後でも、進歩性がある形(クレームの減縮)に訂正できます(但し訂正は1回のみ、技術評価書の送達から2ヶ月内に限る。実用新案法14条の2)ので、権利行使が不可能とまではいえません。
また、出願から3年内(かつ技術評価書請求をしていない場合)なら、「実用新案登録に基づく特許出願」(特許法46条の2)を行なうこともできます。
以上より、全く無意味ということはなく、これからもそれなりのニーズに答える形で存続していくと思われます。
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著作権と特許権とは、その保護対象が大きくずれているので、それぞれに独自の存在意義があります。
しかし、保護対象が事実上重複する部分、例えばコンピュータ・プログラムについては、特許権の方が権利範囲が広いといえます。
なぜなら、プログラムの著作権は、1つのアイデア毎にではなくそれを実現するための様々な個別のプログラム=表現毎にそれぞれ個別に発生しますが、特許権ならその1つのアイデア毎に権利を取得できる(つまり、その1つのアイデアを実現するための様々な個別のプログラム=表現の全てをカバーする権利として、1つの特許権を取得できる)からです。
以上より、プログラムの著作権を持っていても、ソフトウェア特許を取得するメリットは極めて大きいと言えます。
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「著作権と商標権とはどちらが強いの?」と聞かれることがあります。
これは異種格闘技のようなもので、常にどうとは言えないのですが、少なくとも同じ対象について著作権と商標権との間で争いになった場合は概ね著作権の方が強い(優先する)と言ってよいと思います。
そもそも権利の発生を時系列で見ても、キャラクタのイラストを創作した時点でその著作権はベルヌ条約の下で世界各国で発生するのであり、その著作権が発生した後に、そのイラストについてさらに商標権も取得したいという場合だけ各国の特許庁に出願するという順序ですから、商標権よりもずっと前に著作権が発生しているのです。
商標法29条が、商標権で保護されている商標であっても、商標出願前に発生していた他人の著作権と抵触するときは、その商標を使用できないとしているのはこの趣旨です。
では商標権なんて無意味なのかというと、そんなことはありません。
なぜなら、例えば、会社名・商品名・サービス名などを示す言葉、単純な図形やその組合せなどは、芸術性・著作物性がないため著作権の対象になりませんが、商標権なら保護対象にできます。
逆に、楽曲や文章などは、一部を除き原則として、著作権の対象になりますが商標権の対象にはなりません(音の商標登録には識別力などの厳しい要件が課せられています。また、ある程度長い文章は、全体を図形として見られる場合は別として、自他商品識別力が認められないと思います)。
このように著作権と商標権は、保護対象が一部は重複していますが、かなりずれていますので、それぞれに独自の存在意義があります。
しかし、保護対象が重複している部分、例えばキャラクタのイラストについては、上記のとおり著作権が商標権に優先します。
さらに、著作権の方が、権利発生の費用も掛からないし、存続期間も著作者の死後50年と長いというメリットがあります。キャラクタのイラストについて商標権を取得するメリットは、著作権はその保有を立証することが難しい場合があるが商標権なら常に立証が容易、10年毎の権利更新を繰り返すことで100年以上の権利存続も可能などの点でしょうか。
以上より、「会社名・商品名・サービス名などを示す言葉(文字列)、単純な図形やその組合せ」などについてはそもそも著作権が発生しないので商標出願をしておくメリットは非常に大きいと言えますが、他方、キャラクタなどのような著作権が発生するものについては既に著作権を持っている場合に敢えて商標登録を取得する必要性はそれほど高くないと言えます。
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「ソフトウェア」関連の発明・考案には、次の4つのものがあります。
(1)システム(コンピュータシステム、装置)
(2)方法
(3)プログラム
(4)プログラムを記録した記録媒体
これらの中で、(2)方法、(3)プログラム、及び(4)プログラムを記録した記録媒体は、特許では保護されますが、実用新案では保護対象外とされています。
一般に「ソフトウェアは実用新案では保護されない」と言われることがありますが、このときの「ソフトウェア」という言葉は、特に上記(3)の「プログラム」の意味で使用されているのでしょうね。
しかし、ソフトウェア発明やビジネスモデルを特許出願するときは、通常は「・・・を特徴とする○○システム(装置)」という形で出願され登録されることが最もポピュラーであり、そのような「・・・システム」という形ならば、ソフトウェア発明やビジネスモデルも、特許か実用新案かを問わずどちらでも登録可能です。
システムは「部品の構造又は組合せ」(実用新案法1条)と言えますし、システムはソフトウェアとハードウェアが協働して生成されるものだからです。
その意味では(システムという形で出願する場合は)、ソフトウェア発明やビジネスモデルも実用新案で保護され得る、と言えます(なお、このような実用新案登録が実際のビジネスでどういう意味を持つのかはまた別の問題ですが・・・)。
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弁理士 鯨田雅信
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